連載エッセイ「日々の徒然」

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◎第8回(2000/10/4)

柏インターで途中下車した話

海老原 達彦
ピストンの練習は、午前が多い。掛け持ち団体の都合に合わせると、どうしても朝からラッパ、体に悪いことをせざるを得ない。

今日も朝からクルマで浦和へ。クルマは和気号、運転手は和気くん。彼は貧乏だけど、クルマの運転はうまい。朝から練習だけど、安心して助手席でくつろげるのが有り難い。だけど、いつもくつろげるわけではない。

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アレはいつ頃だったか・・・、午前の練習のため、大井町のきゅりあんに向かってるときだった。谷田部ICから常磐道に入り、渋滞情報によればさほど混んでおらず、間に合うかなとのんびり安心していた矢先。運転手の和気くんが、青ざめ始めた。脂汗も浮かんでいるだろうか。

察しはついた。私に出来ることは、祈ることだけだ。下手に励ましてはいけない。おなかが奮起すると大変だから。

利根川を渡る頃だったろうか。

 (和気)「えびさん、ちょっと来てます。・・・・」
 (えび)「守谷SA過ぎちゃったね〜。次は加平だっけ」

みるみる和気が青ざめていくのが分かる。

 (和気)「途中でおりて良いですか?」

・・・いつだったかの、四つ木で降りて首都高料金二度払いを思い出す・・・

 (えび)「・・・うん、早いところ降りて楽になろうよ」

高速を柏ICで降りた。料金所近くのJHの事務所に駆け込む和気。ああ、ちょっと遅刻だな。和気くんが完全復活すると良いな。いつも第二波第三波があるからなあ・・・(10分)・・・。

かわいそうだなあ・・・(10分)・・・。

片付いたかなあ、ひからびてないかなあ・・・(10分)・・・。

まだ戻ってこない。いかん、大遅刻だ。

一見回復した体の和気くんが帰ってきた。気を取り直し、再び高速に。よかった。ちょいと苦しそうだけど、和気くんしばらく保ちそうだ。あ、葛飾ハープ橋の横Gはおなかにくるってば。設計ミスちゃうかぁ・・・

その後も道は順調、ちょい遅刻ですんで、スタジオへ。あれ?和気くんは楽器を置いて一目散。ごくろうさま。

・・・40分経過・・・、見に行く。

 (えび)「・・・お〜い、・・・。生きてる〜?」
 (和気)「すみません、もうちょっと」

その後、トイレの合間に和気くんは少しだけ、練習に顔を出してくれた。

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 (和気)「外環浦和で降りるんでしたっけ?」
 (えび)「あ?そうそう」

我に返る。それにしても、あの時はすごかった。今日も気候や寝不足など悪条件が重なって心配したけど、無事たどり着けるみたい。安心して女子マラソンの中継が聴けた。


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