連載エッセイ「日々の徒然」

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◎第14回(2000/11/14)

ピストン輸送

峯岸 歓雄
あれは8年ほど前、ピストンのメンバーみんながまだ20歳前半の頃だった。

いまでこそ練習といえばみんなが車で現れるようになったが、その頃はまだ団内でのモータリゼーションの発展が見られない頃であった・・・。ただ、その中に若き日から借金苦に耐え、車を保有していた車好きが約2名。

ある日、つくばにて練習する事になり、集まったのは5人。練習終了。ハードな練習(?)だったので、みんなかなり空腹になる。まあ、ハードな練習でなくても腹は減るし飯も食いたいので、みんなで食事に行こうということになった。

ご存知な方も多いとは思うが、つくば市という所は郊外型の飲食店が多く、練習場から歩いてみんなでご飯を食べに行くというような土地ではない。そんなことでみんなで車に乗って行くのが普通なのだが、その日車で現れたメンバーは5人のなかで例の車好きの2人だけ。

通常、そういったとき車で来た者は感謝こそされても顰蹙を買うことはないはずなのだが、例の2人は「役に立たない奴だ!!」と大顰蹙を買ってしまったのだった。

なぜ彼らは役に立たなかったのか?

車は故障したわけでもなく、キーを紛失したわけでもない。車はいたって快調そのものだったのだが、当時2人が乗っていた車は2人乗りのオープンカー。当時団長のTが広島にあるM社の車、もう一台はこの私、浜松の軽自動車メーカー、S社の軽オープンスポーツ。

俗に言う「普通の車」であれば当日練習に参加した5人という人数は一台で輸送できる人員である。それが2台もあるのに乗せきれない。スポーツカーなのでトランクも小さく、楽器もうまく積載できない。

なぜか車2台で5人を「ピストン」輸送したのであった。


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