連載エッセイ「日々の徒然」

[エッセイ目次] [←前へ] [次へ→] [トップへ]

◎第30回(2002/8/23)

大事なラッパ

海老原 達彦
 私が今持っているラッパは5本ある。どの楽器も大事に思っている。貸し出し用のロータリーB管に対して、ちょっと愛情薄いかも知れないけど。ロータリーC管とフリューゲルは希少メーカーなので特に大事にしてるけど、Bach のピストンB, C管どっちも大事な楽器と感じている。

 でも、ピストンC管は、何故か運がない。不滅や大祝や道化師といった、私の輝かしい記憶と共にある楽器なのに。

 大学二年の秋、C管を買った。3番抜き差し管を落とさないように、たこ糸を家から持ってきて固定しないと・・・、などと思っていた購入三日目、あっさり落として大へこみ。はやかったなあ。

 七年前、練習中にふとめまいが。慌てて、下を確認せずに着席・・・、あれ?椅子に違和感?・・・慌てて立ち上がったけど、楽器はすごい潰れよう、曲がりよう。先ほど以上のめまいがぐらぐら。

 楽器屋さんに持っていったら、かなり元の形になって帰ってきました。はあ、治らないかと思ったけど、良かった。でも、その後のメッキの剥がれの速いこと速いこと。やっぱりこのときの変形と修理がこたえたのかなあ。穴があくのはこの楽器が最初かしら、だとしたら、C管買い換えが一番早く起こり得るって、覚悟してました。

 で、先週日曜1/13。オケの練習。割と早めに出かけられて、今日は遅刻しないみたい。などと玄関でほくそ笑む。けど、使用予定のC管が見つからない。玄関の棚を全部ひっくり返してもない。まさかと思って、押入もひっくり返すけどない。

 ??????????????????????????????????。

 前回使ったのは、昨年12/22だけど、その時どうしたっけ?思い出せない。まさか・・・。とにかくB管を持って練習へ(遅刻)。前回の練習で一緒に東急線に乗った土手くんの証言、「楽器は持ってましたよ」。むむむ。その後か。翌日12/23につれあいのピアノ伴奏で、22日はそのことで頭いっぱいいっぱいだったからなあ。練習不足で。

 どこでどうしたか分からないけど、帰りの列車(東急大井町線、京浜東北線、常磐線)のどこかで忘れた可能性大。それにしても、3週間も気がつかないとは、一体俺って・・・・。

 さすがに私も落ち込みまくり。C管供養してやらないと。写経しようかなあ。

 その前にやること。平日になったら駅の忘れもの預かりに電話かけまくらないと。翌日は成人の日。翌々日の火曜、まずは、(自分的には)馴染みの上野駅に電話。

 駅員さん:「うち(上野駅)は、上野から金町までの忘れ物しか扱ってないけど、ちょっと待ってて」

 待つこと10分。

 駅員さん:「もしもし、特徴は?・・・それだったら、12/22 日、上野着の電車の網棚から出てるねえ。高架ホームの忘れ物預かりが集めた記録があるよ」

 むむむ、また高架ホーム預かりか。御世話さまですぅ。天はまだ俺を見放してない。

 さすがにもうJRにはなくて、飯田橋の警視庁遺失物センターにあるとのこと。平日東京・・・、つれあいにお願いして、金曜に回収。1ヶ月ぶりに再開。良かった良かった。

 それにしても、大事な楽器をなくして3週間気がつかず、1ヶ月ぶりに再開とは、さすがに己のモラールの低さにがっくり。でも、本当にあって良かった。みんな、ありがとう。

 内心、世の中を甘く見るとうまく行くもんだ、なんて思わないでもなかったけど。

 さてさて、再開してまだ三日。来週は少しずつ、磨いてあげようか。あ、ケースに住所と名前を書いておこうっと。

 もちろん、昨日今日と楽器持ち歩いたとき、楽器を網棚にはのせませんでした。


[エッセイ目次] [←前へ] [次へ→] [トップへ]